コラム

第2回 高知で輝く若手医師 Part2 [2013/04/10]

高知大学医学部附属病院
麻酔科 田村 貴彦先生

Profile
田村 貴彦(たむら たかひこ)
平成12年3月土佐高等学校卒業
平成21年3月高知大学医学部卒業
平成23年3月高知大学医学部附属病院初期研修修了
平成23年4月高知大学医学部附属病院麻酔科医員(レジデント)

高知県出身。
昨年結婚したばかり。女性の患者さんたちに「かわいがられています」というイケメン麻酔医31歳。

縁の下の力持ち、見えないところで自分を生かす!!

■医師になろうと思ったきっかけは?
小学生の頃、理科で人間の体について勉強したとき、体循環、肺循環などのしくみをおもしろいと感じました。両親に医者になりたいと話すと、「難しいからやめておけ」と言われました(笑)。高校生になって進路を考えたときに、「どんな仕事だってしんどいはず。だったら人のためになること、感謝されるような仕事に就きたい」と思うようになり、「やっぱり医者だ」と。私も両親も高知生まれ、高知育ち。地元で働きたい、役に立ちたいという気持ちがあり、高知大学医学部を第一志望にしました。浪人もしましたが、父は黙ってサポートしてくれました。

■麻酔科を選んだのはなぜですか?
学生時代は外科に憧れていました。仕事が目に見えるので、カッコいいと思ったんです。ですが、初期研修をするうちに、患者さんの体をトータルで診ることに魅力を感じるようになりました。内科や集中治療に興味が湧いてきたんです。 先輩にそのことを話すと、「救急や集中治療では、麻酔で全身管理を行ってから治療に入る。麻酔をやってみてはどうか?」とアドバイスをもらい、麻酔科を選びました。「問診をして診断をする」という場面がないので、医師の仕事としては特殊ですが、縁の下を支えるという仕事にやりがいを感じています。 術後の状態が落ち着いて、挿管を抜いて「お疲れ様」と声をかけるときはほっとします。また、以前に手術を経験された方から、「前回は痛みがあり、気持ち悪くてしんどかったけど、今回は大丈夫だった」と言われるとうれしいですね。

■麻酔科医として、今後のスキルアップは?
心臓大血管手術の麻酔と、集中治療の際の全身管理について経験を重ね、専門医資格をとっていきたいと考えています。心臓血管手術はダイナミックで、術後の管理も複雑で時間がかかります。一度止めた心臓が再び動き始める過程で、体のさまざまな部分に不調をきたしますが、それを一つ一つ確認しながら元の状態に戻していくロジスティックスな治療には、とても魅力を感じています。
現在、大学院2年。あと2年のうちに自分でマネジメントした研究を発表し、学位をとることが当面の目標です。その後は別の病院で働くこともあるかもしれませんが、広い視野を持ってさらに「やりたいこと」を見つけていきたいと思っています。

■今後はどのような医師を目指していますか?
手術時の麻酔では、オペレーターとの信頼関係が第一。血圧の変動があったり、患者さんが動いたり痛がっていたりしたらオペができません。しっかりと麻酔で全身管理することでオペレーターはオペに集中でき、結果的にそれが患者さんのためになります。まわりのスタッフから信頼される医師になりたいです。
麻酔科は患者さんを介していろんな科とかかわり、「一緒に診ていく」という楽しさもあります。そこでも信頼し、頼りにされる存在でありたいと思います。当直の日には「今日は田村がいるから大丈夫」と安心してもらえるようになりたいですね。

■高知県の魅力はどんなところですか?
ここは大学病院ですが、とてもアットホームなうえに、スタッフの「結束が固い」というイメージがあります。上の先生との距離がとても近く、とても身近な存在です。また、各科の間の垣根が低く、困ったときにはすぐにPHSで直接連絡し、的確なアドバイスをいただくことができます。集中治療室に駆けつけてくださる先生もたくさんいます。さまざまな病気の患者さんを診る私としては、とても心強いこと。スタッフ同士の連携がうまくいけば、有効な治療につながります。 私は地元出身、高知大卒ということもあり、先輩が大勢います。加えて、患者さんが話す「土佐弁」がスムーズに理解できるという点も強み。働きやすい職場かもしれません(笑)。

■医学生・研修医のみなさんへ
麻酔科は新しい分野で、治療のガイドラインが示されていないことが多いです。普段の診療でわからないことがそのまま研究テーマとなり、自分で調べていく楽しさがあります。先生方も協力的で、国内・国外を問わず何度も学会発表をさせていただきました。研修時代は、医師は臨床をバリバリやるべきだと思っていましたが、マニュアル+αの知識で日々をこなしていては、薄っぺらい医師になってしまうのではと思うようになりました。常にいろいろ考え、探求心を持って研究を続けておられる先生は、深みがあると思います。若い人たちの大学離れが言われていますが、大学は研究の環境が整っているのに、もったいないと思いますね。
高知県では麻酔科の医師がいない病院が数多くあり、需要が高まっています。研修で十分麻酔のおもしろさを伝えきれていないことも一因だと思いますので、これからは教育面にも目を向けていきたいと思います。手術は麻酔医がいないと始まりません。一緒に「縁の下の力持ち」となってくれる人を待っています。

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