コラム

第5回 高知で輝く若手医師 Part5 [2013/10/23]

高知大学医学部附属病院
外科1 志賀 舞先生

Profile
志賀 舞(しが まい)
平成12年3月 土佐高等学校卒業
平成18年3月 高知大学医学部医学科卒業
平成18年4月 高知大学医学部附属病院初期研修医
平成20年4月 高知大学医学部附属病院外科1医員
平成21年4月 仁淀病院
平成24年4月 高知大学医学部附属病院外科1助教

高知県出身。
4歳と5歳の男の子のママ。
新しいことにどんどんチャレンジし、70歳まで医師を続けたいという、意欲と向上心にあふれる32歳。

前を向いて、新しいものを取り入れる姿勢を持ち続けたい

■医師になろうと思ったきっかけは?
 共働きの家庭に育ったので、女性も働くことが普通だと思っていました。ずっとやりがいを持ってできる仕事、人の役に立つ仕事に就きたいという思いが強かったです。また、あまり体が丈夫ではない母に「体を大事にしなさい」と繰り返し言われて育ったので、小さい頃から健康が大事という認識がありました。医師にしかわからないことがあり、医師でなければできないことがある。勉強して医師になりたいと思ったのは中学生の時です。その後、自分の生き方や働き方を考える中で、発展途上地域や過疎地域での医療に貢献したいという思いが生じ、まずは地元・高知の医療を充実させたいと考え、医師を目指しました。

■外科を選んだのはなぜですか?
 5年生までは地域医療の道に進むことを考えていましたが、学生実習と初期研修で手術に参加して、純粋に楽しいと感じました。病巣を的確に判断し、精度の高い手術で患者を治療する。私もそんな外科医の仲間入りがしたいと思い入局を決めました。
 外科は主に急性期の病態を扱うので、治っていく過程が目に見えてわかることも魅力の一つです。また、仕事の半分は技術的なことなので、自分のステップアップの過程もわかりやすく、目標が立てやすいです。深く考えるのが苦手な方にもおすすめです(笑)。
 消化器を専門に選んだ理由は、日本では、消化器外科のレベルが世界をリードするほど高いということです。日本で外科をするなら消化器がお得だと思いました。
 外科の難しいところは、必ず一定のリスクがあり、100%の結果を提示できないところです。外科治療=侵襲であり、する方がいいのかしない方がいいのかという判断は、時に非常に困難です。もちろん思い通りの結果が伴わないことも多々あります。誠意を持って全力を尽くすことができたか、いつも振り返りながらやっています。手術で良くなった患者さんを見ると、自分にしかできない仕事ができたという達成感を感じられるのがうれしいですね。

■育児との両立は大変ですか?
 研修医のときに結婚し、二人の子どもを出産しました。現在、4歳(男)と5歳(男)になります。二人とも院内保育所のこはすキッズでお世話になっています。私生活では、子どもとどう向き合うかが、大きなテーマになっています。長男は来年小学生になるので、彼もさまざまなミッションを与えられるようになります。それを助けてあげたい、力になってあげたいという思いがあり、仕事と子育てとどうバランスをとるか、難しいところです。寂しい思いをさせている分、「社会にとって必要な仕事をしている」と言える仕事をしたいと思っています。
 子どもを持つ女性医師として、働く環境の改善にも取り組んでいます。男性医師がフルタイム以上に勤務することが前提になっている職場環境では話になりません。幸い私の後に二人の女性医師が続いてくれています。彼女たちがその能力を惜しみなく発揮できる職場づくりを目指しています。

■高知県の医師としてやりたいことは何ですか?
 高知県のがんの診療は、まだまだ発展途上にあります。各科、各施設間の連携も不十分です。もっともっと進歩していくためには、大学が、がんに関する様々な情報を発信し、リードしていくことが大切だと考えています。 大学には研究するための施設や設備が豊富で、新しい情報にアクセスしやすい環境も整っています。大学でなければできないことをしっかりとやっていきたいです。教育もその一つで、考える人材を育てていきたいと思っています。
 高知県は高齢者が多く、がんで亡くなる人もたくさんいます。がん診療に関しては、治療を追求する側面と生活をサポートするケアの側面の二本立てで考える必要があります。治療については科学的な発展が必要ですが、ケアについてはシステムの整備で大幅に改善できる可能性があると思っています。高知県においてがん診療の理想的なモデルを確立し、日本各地の過疎地域にそれを広げて、がんで亡くなる一人でも多くの人が、その人らしい最期を迎えられるようになることが、私の夢でもあります。

■座右の銘を教えてください。
 子どもには、「働かざる者食うべからず」と「情けは人のためならず」を挙げて、一生懸命働いて人を助けて、本当に困ったときは周りの人に助けてもらえる人になりなさいと教えています(笑)。
 自分は、医師になってからは特に「職業に貴賎なし」という言葉を大切にしています。どんな職業でも社会で必要とされているから職業として成り立っている。私は役に立つ人になりたいと思って医者になりましたが、世の中に役に立っていない職業はありません。病院の中で言えば、看護師も栄養士も清掃員も、みんなが貢献しています。医師は一般的に高い時給で雇ってもらえますが、それはより多くのものを求められているからに過ぎません。それに応える努力をしなければ医師ではないと思っています。時々忘れそうになるので、いつもそばに置き、自分を律しています。

■今後はどのような医師を目指していますか?
 医療は日々発展し、自分が止まっているうちにどんどん進歩します。前を向いて、新しいものを取り入れる姿勢を持ち続けたいと思います。病気については、わかっていないこと、十分ではないことがたくさんあって、色々な人がそれに取り組んでいるからこそ医療が進歩します。自分も一役買いたいという思いがあり、またその気持ちを持っていると仕事が楽しいですね。日々努力し、進歩し、人の役に立つようプラスのサイクルで進んでいきたいです。

■医学生・研修医のみなさんへ
 手術を見て、おもしろかったとか、やってみたいとか、プラスのインパクトがあった人は、その直感を大事にしてぜひ外科医になってほしいと思います。大学で外科医として働いていると、どんどん新しいものが見えてきます。到達したいと思っているところまで行くと、また次のポイントが見えてくる。自分が進化している実感があります。一人でも多くの人と、この感動を共有できればと思っています。

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