コラム

第3回 高知で輝く若手医師 Part3 [2013/05/15]

高知大学医学部附属病院
小児科 長尾 佳樹先生

Profile
長尾 佳樹(ながお よしき)
平成10年3月千葉県立薬園台高等学校卒業
平成14年3月横浜国立大学工学部電子情報工学科卒業
平成18年4月高知大学医学部医学科3年次学士編入学
平成23年3月高知大学医学部卒業
平成25年3月高知赤十字病院初期臨床研修修了
平成25年4月高知大学医学部附属病院小児科医員(レジデント)

千葉県出身。
大学卒業後、医師を目指して学び直したバイタリティーあふれる33歳。

子どもたちの笑顔のために、とことん頑張る!!

■医師になろうと思ったのはなぜですか?
小さい頃から医師の仕事に憧れていましたが、高校時代はあまり勉強をしなかったため、医学部を断念。工学部に進みました。しかし、就職活動をするうちに、だんだんと人に接する仕事がしたいと思うようになりました。知人から学士編入の制度があると聞き、「人の笑顔をお手伝いできるやりがいのある仕事」として医師になることを決意。「働いて学費をため、もう一度医師を目指す」と親に話したところ、「それなら今から頑張れ」と言ってくれたので、就職内定を辞退して勉強を始めました。 受験も大変でしたが、3年生に編入した後も大変でした。解剖実習がすでに2年次に終了していて、遅れを取り戻すのに必死でした。また、医学は学べば学ぶほど奥が深く、きりがないし終わりがない。まわりについていくために、とにかく勉強が必要でした。

■小児科を選んだのはなぜですか?
子どもが好きです。誰よりも、子どもたちに笑顔になってほしいと思いました。子どもの元気はまわりの人に大きな影響を与えます。子どもが暗く沈んでいると、まわりの人も落ち込むし、笑顔になるとほっとします。あの笑顔のためなら、とことん頑張れるなと。ご家族の負担を軽減してあげることも、小児科医の務めだと思っています。
今は主に病棟を担当していますが、ぐったりしていたお子さんが、日に日に元気を取り戻し、笑顔で帰っていく姿が何よりもうれしいですね。最初は私の顔を見るだけ、声を聞くだけで泣いてしまう子もいますが、泣かせてなんぼの仕事。そこは気にしていられません(笑)。ですが、相手がどんなに小さくても、治療を受け入れてもらえるよう誠意を持って話し、信頼関係を築いていくことが大事だと思っています。

■小児科医として、今後のスキルアップは?
小児科に来て1年目、まだまだ勉強中です。とにかく、先輩を見て、患者さんに接して、何でも学ぼうという気持ちです。小児科は全身を診られるようにならなければなりませんから、やらなくてはいけないこと、勉強しなくてはいけないことが山積みです。 大学病院は研究環境が整っているので、自分でテーマを見つけて研究もしていきたいと思っています。臨床ももちろん大事ですが、研究をすることでものの見方が変わり、考えが深まると思うので、ぜひやっていきたいですね。

■今後の目標は?
将来的には、小児科のいない地域に行って子どもたちを診たいと思っています。どこに住んでいても、安心してかかりつけのお医者さんにかかれるようになればいいですね。町のお医者さんとしていろんな人とふれあっていくうちに、また何か新しい発見があるかもしれない。自分にとってはそれも楽しみです。
今、親子のかかわりが希薄だったり、難しかったりする家庭もあります。不調の訴えを聞いて親御さんが病院に連れて来る子どもについては治療ができますが、そうではないケースもあります。私たちの目や手が届かない部分なので、いろんな機関との連携をとっていく必要があるのではないかと感じています。自分一人では解決できない、社会全体の課題です。

■高知県の魅力はどんなところですか?
千葉県出身ですが、このまま高知で医師を続けようと思っています。高知はまず、食べ物がおいしいところが魅力。食事が楽しいと、元気が出ますね。仕事にも影響していると思います。田舎のようですが、車で岡山まで1時間半、神戸まで3時間。行こうと思えばいつでも行ける、遊びにも買い物にもそんなに困らない暮らしやすいところです。
都会の病院では研修医の数が多く、患者さんや症例を取り合うような状況になっていますが、ここではきちんと患者さんに向き合えます。医師の派閥争いもなく、医師とスタッフが一丸となって患者さんの方を向いています。人があったかく、患者さんもやさしいですね。上級医の先生との距離も近く、ギスギスした人間関係がない、アットホームな職場で働かせてもらっています。 また、県内の病院間の垣根が低く、研修もとてもやりやすかったです。他院の先生にもとても良くしていただきました。研修医の仲間たちで学び合う「コーチレジ」(http://www.kochi-resi.net/)もあり、とてもいい研修期間を過ごせました。研修医としても、医師としても働きやすい環境だと思います。

■医学生・研修医のみなさんへ
これから進路を決める人たちに大事にしてほしいのは、すぐ上の先生たちをよく見ておくことです。初期臨床研修では、ついつい目の前のことに追われがちですが、1年先輩、2年先輩の先生方が働く姿や表情を見て、一緒に働きたいと思うかどうかを考えてみるとよいと思います。そこにたくさんのメッセージが詰まっていると思います。自分がなりたい像を近くに見つけることができれば、モチベーションも維持することができます。  上の先生方と、すぐ近くで仕事ができる環境は得るものが多く、大変貴重です。ぜひ高知での経験を、自分のキャリアプランニングに生かしてほしいと思います。
高知県は、高知に縁のない人も疎外感なくイキイキと働けるところ。他県から来られた先生もたくさんいます。若いみなさんをお待ちしています。

←前のコラム 一覧へ 次のコラム→

▲ TOP